「肝試しに行く」
富山県氷見市の19歳(当時)の女性ふたりが乗用車で家を出た。1995年5月5日の夜のことである。
同日深夜になって、ポケットベルで「いま魚津市にいる」というメッセージを友人に送ったのを最後に音信がぷっつりと途絶えた。
― 週刊誌で話題の「肝だめしスポット」 ―
魚津市の山中には廃墟と化した元温泉旅館跡があり、「肝試しの場所」として週刊誌でたびたび取り上げられていた。
記事によると坪野鉱泉旅館跡地は、週末になると地元富山県だけではなく、石川県、新潟県、福井県、岐阜県など他県からも集まる暴走族らのたまり場。ふたりはそこに向かっだと思われる。
― ヘリと山岳捜索隊による捜索 ―
ふたりはもちろん、ふたりの乗った乗用車も発見されないことから富山県警はヘリと山岳捜索隊を組織。崖下など車が転落しそうなポイントを捜索したが徒労に終わった。
坪野鉱泉旅館跡地が暴走族のたまり場であったことから事件に巻き込まれた可能性もあるとして、現場検証も行ったが何の収穫もなかった。
― 消えた足取り ―
ポケットベルで「いま魚津市にいる」というメッセージを残したまま、杳として行方がつかめないふたりには「暴力団による人身売買説」も浮かんだが、これもまだ憶測の域をでていない。
富山県警と氷見・魚津両署は転落などの交通事故、および事件の両面から捜査を続行しているが、16年後の今も全く手掛かりがない。いったいどこへ?