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恐怖の殺人の真実

茨城一家9人殺し事件

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茨城一家9人殺し事件

昭和29年10月11日午前5時頃、茨城県鹿島郡徳宿村(現・鉾田町)の農業兼精米業の大沼豊房さん(当時42歳)方から出火。
住宅や納屋などが全焼し焼け跡から主人の豊房さん、妻のとめさん、長男の豊中さんら一家9人が焼死体で発見された。

警察は、出火原因が掴めない事や焼死体に不審な点があるとして9人の死体を司法解剖へ回した。
解剖の結果、全員の遺体に青酸反応が認められ、毒殺後の放火ということが判明。
更に、犯行現場である大沼方の井戸から小型の薬瓶と注射器が発見された。 この結果、茨城県警は「一家9人殺人事件」として捜査本部を設置。捜査を開始した。

捜査関係者の多くは、ある事件との関係も模索していた。そう、戦後最大の謎「帝銀事件」。

捜査班は近所の聞き込み調査で、事件前日の10日、保健所の者だと名乗る白衣の男が大沼家の調査をしていたことが判明。 この男は、大沼家の財産・資産、家族構成を聞きまわっていた。
また、大沼家の自転車が乗り捨ててあった場所から、犯人の物と思われる名前入りのワイシャツを発見。 さらに大沼家から盗んだと思われるコートを友人に売っていた男がいることを突き止めた。

11月6日、捜査本部はこれまでの状況と証拠品を検討した結果、神奈川県横須賀市出身の緑志保(当時43歳)を犯人と断定し全国に指名手配した。
緑は私生児として生まれ13歳の時に養子先から家出。その後、窃盗、詐欺などを繰り返して前科8犯、人生の半分の24年間を刑務所で暮らしてきた男だった。

― 帝銀事件との関係は? ―
全国指名手配の翌日、11月7日に緑は栃木県塩原温泉で潜伏しているところを逮捕された。 逮捕後、緑は犯行前日に宇都宮からバスを乗り継いで徳宿村まで来たこと、その途中の栃木県小山市の理髪店で白衣を購入していたことが判明した。
逮捕された緑は身柄を栃木県警大田原署に引き渡され、本格的な取り調べを行うこととなったが、その取り調べ中に緑は隠し持っていた仁丹ケースに入れていた青酸カリを服毒。
緑が自殺したため被疑者死亡で書類送検。事件は十分に解明されないまま幕を閉じてしまった。

この事件は、保健所員に化けて毒殺するという手口が6年前に起きた「帝銀事件」と酷似していた。
帝銀事件の容疑者、平沢貞通の弁護人は真犯人の可能性ありとして現地入りしたが、緑の自殺によってこれも究明されることは無かった。

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