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恐怖の殺人の真実

失踪事件~謎の怪文書~

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失踪事件~謎の怪文書~

1991年3月15日、中部地方の町でKさんの三女Yちゃん(当時8歳)が突然姿を消した。
テーブルに上にはまだ暖かいココアが残されていた。

前夜板金工場で夜勤をしていたKさんは、午後4時頃目を覚ました。
Yちゃんがいないことにはさして気に留めなかった。しかしYちゃんは夜になっても戻ってこなかった。
午後8時には警察に連絡し、家族や小学校の教師らと捜索したが見つからなかった。

― 誘拐?失踪? ―
家の中を見ても、不審な点が多かった。遊びに行く時、いつも乗っていた自転車が置きっぱなしになっていた。
Yちゃんが温めたと思われるココアがそのままだった。Yちゃんがいつも着ていたピンク色のジャンパーも家に置かれていた。
またYちゃんはこの日に限って、友人の遊びの誘いをなぜか断っている。

― 目撃証言 ―
目撃証言も多数寄せられた。学校のジャングルジムで遊んでいた。
自宅から15mほどの地点で白いライトバンの運転手と話していた。
学校の近くの近鉄駅にいた。
しかし残念ながら、これらは有力な手がかりにはならなかった。

― 無言電話 ―
Yちゃんの家族はその後も、情報提供を呼びかけるビラや看板を作ったり、TV出演して事件の手がかりを待った。
自宅の電話には逆探知装置をとりつけて待ったが、脅迫電話はなかった。そのかわり、無言電話が頻繁にくるようになった。
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― 届けられた怪文書 ―
事件から3年後、一家に怪文書が届く。実に不気味な文書だった。

Yサンにツイテ
 Y カアイソウ カアイソウ
 おっカアモカアイソウ お父もカアイソウ
 コンナコとヲシタノハ トミダノ股割レ
 トオモイマス
 股ワレハ 富田デ生レテ 学こうヲデテ
 シュンガノオモテノハンタイノ、パーラポウ
 ニツトめた
 イつノ日か世帯ヲ持チ、ナンネンカシテ
 裏口ニ立ツヨウニナッタ
 イまハー ケータショーノチカクデ
 四ツアシヲアヤツツテイル

 ツギニ
 スズカケのケヲ蹴落シテ、荷の向側のトコロ
 アヤメ一ッパイノ部ヤデ コーヒーヲ飲ミナ
 ガラ、ユキチヲニギラセタ、ニギッタノハ
 アサヤントオもう。
 ヒル間カラ テルホニハイッテ 股を大きく
 ワッテ 家ノ裏口ヲ忘レテ シガミツイタ。

 モウ股割レハ人ヲコえて、一匹のメス
 にナッテイタ。
 感激ノアマリアサヤンノイフトオリニ動い
 タ。ソレガ大きな事件トハシラズニ、又カム
 チャッカノハクセツノ冷タサモシラズニ、ケッカハ
 ミユキヲハッカンジゴクニオトシタノデアル
 モウ春、三回迎エタコトニナル
 サカイノ クスリヤの居たトコロデハナイカ
 トオモウ

ダッタン海キョウヲ、テフがコエタ、コンナ
 平和希求トハチガウ
 ミユキノハハガカ弱イハネヲバタバタ
 ヒラヒラ サシテ ワガ子ヲサガシテ、広い
 ダッタンノ海ヲワタッテイルノデアル
 股割れは平気なそぶり
 時ニハ駅のタテカンバンニ眼ヲナガス
 コトモアル、一片の良心ガアル、罪悪ヲ
 カンズルニヂカイナイ
 ソレヲ忘レタイタメニ股を割ってクレル
 オスヲ探しツヅケルマイニチ

 股ワレワ ダレカ、ソレハ富田デ生レタ
 コトハマチガイナイ
 確証ヲ?ムマデ捜査機官に言フナ
 キナガニ、トオマワシニカンサツスルコト
 事件ガ大キイノデ、決シテ
 イソグテバナイトオモウ。
ヤツザキニモシテヤリタイ
 股割レ。ダ。ミユキガカアイソウ
我ガ股ヲ割ルトキハ命ガケ
 コレガ人ダ コノトキガ女ノ一番
 トホトイトキダ
― 語句解釈 ―
・トミダノ:股割レ トミダは事件発生場所付近の地名であると考えられる。股割レとは売春婦への蔑称と考えられる。
・シュンガ:春画は江戸時代に流行った男女の性を描いた浮世絵。文章中では場所を示しているようなので、ポルノ映画館か風俗関連であると思われる。
・パーラボウ:パーラ(パーラー)はパチンコ屋や喫茶店の名前に対して使われることが多い。しかし、現場近辺にボウという名のパチンコ屋や喫茶店は無いようである。すると、ボウとは、名前を直接出すのを避ける時に使う”某”ではないだろうか。つまり、パーラ某(某パーラ)。
・裏口ニ立ツヨウニナッタ:売春婦の暗喩のようだ。
・ケータショー:警察署?ケータ小(学校)?
・四ツアシ:通常、四足とは四本足の動物を指す。ここでは売春婦の蔑称を示しているのではないだろうか。
・スズカケのケヲ蹴落シテ:スズカケからケを取ると、鈴鹿。
・ユキチ:一万円札の俗語。
・アサヤン:~ヤンというなの愛称かもしれない。しかし、文字を入れ替えるとヤアサン、つまりヤクザ。
・テルホ:ホテルのようだ。
・ダッタン海キョウヲ、テフがコエタ、コンナ 平和希求トハチガウ:安西冬衛の「春」(昭和22年)という詩にそっくりの表現がある。彼の詩の中では、「てふてふが一匹韃靼海峡を渡つて行つた」となっている。韃靼海峡とは、北海道 樺太付近。

― もう1通の手紙 ―
それからしばらくして、一家にもう1通の手紙が届けられた。
霊媒ができるという人物からの捜査協力の申し出である。
差出人は「Yちゃんはすでに亡くなっている。Yちゃんの霊の協力のもと、捜査をする」という。
しかし3日後「Yちゃんの霊を邪魔する別の霊が現れ、捜査に協力することができなくなった」と書いて寄こした。
以来、不審な手紙はない。

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