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恐怖の殺人の真実

広島一家失踪事件

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広島一家失踪事件

広島県世羅。同町に住むYさん一家がペットの犬とともに忽然と姿を消した。
2001年(平成11年)6月4日。この日はYさんの妻J子さんの会社の中国社員旅行の出発日だった。
集合時間になっても現れないため迎えにいった同僚が、Yさん宅の異変に気づいた。
広島県警甲山署は機動隊やヘリコプターを動員し、付近の捜索を開始した。

― なにもかも不自然 ―
玄関の鍵は締まっていたが、勝手口の鍵は開いていた。J子さんの旅行代金や定期預金通帳も手つかずで残っていた。
J子さんや長女の携帯電話や免許証は残されていた。玄関からは4人分のサンダルが無くなっていたが靴はそのまま。
J子さんが旅行に持っていくと想像される鞄が準備されていた。
また電気はつけっぱなしで、翌朝の朝食が虫除けネットをかけた状態で準備してあった。Yさんの車はなかった。

パジャマが見当たらず普段着が畳んであったことから、サンダル履きのパジャマ姿でほとんど何も持たず家を出たことになる。蒸発するにしてはあまりにも不自然な格好である。

― 争った形跡なし ―
争った形跡がない。近所の人も争う物音を聞いていない。
もし拉致ならば、犯人が鳴き声など厄介が多い犬をわざわざ連れ出すことは考えにくい。Yさん一家には特にトラブルもなく、恨みをかうような人ではないと多くの者が証言している。
金銭的に困っていたという事実もない。妻のJ子さんは旅行を楽しみにしていたし、長女は職場のアイドル的存在でトラブルの噂もない。
彼女には将来を約束した男性がいて、幸せの絶頂であり、失踪する理由はない。なにもかも不合理で、不自然だった。

― 不審な音 ―
近所の人は午後10時50分頃に「バタン」という車のドアが閉まる音を聞いた。
それは帰宅した長女が車から降りた音なのか、Yさんの車に乗る音なのかは不明。翌朝午前4時に新聞配達員が訪れた時にはYさんの車もなかったという。

― 神隠し? ―
地元では近くの山で起きた神隠しになぞらえ、この事件を語る者もいた。
それは江戸時代、お夏という女中が突然姿を消し、いくら捜しても見つからなかったという伝説があるのだ。山には「お夏の墓」があり、そしてその山は、Y家が以前所有していたというのである。

― 意外な展開 ―
失踪から1年程が経過した、2002年9月7日。ダムの湖底に車が裏返しで湖底に落ちているのが発見された。
夏の雨不足によって水位が減少したことが車の発見に繋がった。

車のナンバーからYさん所有の車と判明。車内から4人と愛犬の遺体が見つかった。
甲山署は一家の無理心中と判断した。遺体に目立った外傷がなかったこと、車のキーがささったままだったこと、転落したと思われる場所の入り口には車止めがあり、誤って進入する場所ではないことが判断の根拠になった。

それ以降、関係者への事情聴取から納得いく動機が判明したという。ではそれは何だったのか?
その動機はいまだ公にされていない。

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