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恐怖の殺人の真実

アルバート・グージー

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アルバート・グージー

―性の奉仕者―
1955年の夏、アルバート・グージー(当時32歳)は、新しい下宿先としてリーキー家に引っ越してきた。下宿先には、主人トーマス・リーキーとリディア夫人(当時52歳)と娘ノーマ(当時13歳)の家族が住んでいた。

引っ越して2週間ほどが過ぎたころ、アルバートの寝室に何者かが忍んで来た。夫人のリディアだった。彼女は、さめざめと泣きながら訴えかけた。

『アルバート、私は、夫に女として扱われていないの。何年もベッドを共にしていないわ。お願いだから今夜だけでも私を抱き締めて!』

20歳ほども離れた女は、アルバートにとっては母親のような年齢だった。

「それはマズいですよ、奥さん、御主人はすぐそばで寝ているし娘さんもいる。それにあなたと私は親子ほど年が離れている。」

彼女は諦めなかった。押し問答をしていると娘ノーマまで現れた。

「ママ、ここにいるの?」

最悪の自体になった。これでこの下宿を出ていかなければならないとアルバートは覚悟する。

リディアは
『ノーマ!あんたはベッドに戻りなさい!』
と叱りつける。

ノーマは
「そんなこと云うなら、パパに云いつけてやるから!」
と言い返す。

こんな押し問答をしばらく続けた後、その晩は結局3人で寝ることになった。

しかし、そのまま朝がくるはずもなかった。ノーマが寝たことを確認したリディアは、アルバートを求めて来たため、止む無く母親ほど年齢の離れた女を抱くことになる。結局彼女に押しきられてしまう形で、ふたりの関係はできてしまった。

おそらく彼らの隣で目を閉じていたノーマは、まだ寝ていたわけではなく、男女の秘め事を見ていたのではないだろうか。思春期のノーマにとっては興味津々のセックスを間近で知ることができるのだから。

かくして下宿先での奇妙な三角関係が始まった。

―おねだり天使―
ノーマはまさに小悪魔だった。

アルバートは娘ノーマとだけは性交渉を持つまいと自重していたが、それをからかうように彼女は挑発的にふるまい、彼がそれに応じないと、手を翻してたかり屋になる。

「ノーマ、頼む。どうやったら自分の部屋に帰ってくれるんだ?」

「腕時計!」

「わかった……。明日買ってやる」

交換条件に満足するとノーマは部屋を出ていくのだった。その代償は腕時計のこともあったし、レコードや服のこともあった。

リディアの性欲は、今までの不足分を取り返すように辟易するほど激しいものだった。

3人でベッドに入るのが当たり前になりつつあった折、リディアが言った。

「アルバート、私も色々考えたんだけど、そろそろノーマに女の喜びを教えてあげてもいいかもしれないって。」

リディアとノーマは顔を見合わせてアルバートに微笑んだ。アルバートは確信した。この母娘は自分をセックスのはけ口にしようとしているのだと。

彼はなんとかこの母娘から逃れたい一心で、兵役に出た。
入隊手続きを済ませたアルバートが配属されたのは、イギリスからの独立運動真っ盛りのキプロスだった。イギリスの軍人になった以上は、命を賭けて戦わなければならないし、生きて帰ってこれる保障はない。

―堕ちた天使―
災難続きと落ち込んでいた彼に救いの手を差し出してくれる人が現れる。リディアが除隊に必要な金を支払って、故郷に呼び戻してくれたのだ。また彼は、もとのさやに戻ることとなる。

それでも彼は一ヶ月ほど悩んだ末、「ここを出る。」とふたりに打ちあけた。しかしそれを見抜いていたように、ふたりは平然とそれを聞き、それから黙って彼をガレージまで連れていった。

「もうこれまでのような関係を続けるつもりはないからね。」

言われるままに窓から外を眺めると、そこには黒いウォルセリーが停まっていた。

「あなたのために買ったのよ。これで主人に気兼ねなく、いろんなところに行けるわね。」

アルバートは車など持ったことがなかった。そんな彼が新車のオーナーになれるのだ。誘惑には勝てず、結局その後もズルズルと関係をまた続けることになる。

腹をくくってしまえばこれほど楽しい生活はなかった。休日には3人でピクニックを楽しみ、夜にはベッドで寝た。

しかし夫にバレることは必然的にやって来る。

―最後の始まり―
妻と娘を寝取られた主人トーマスは激怒し、アルバートは下宿を追い出される。

正直なところアルバートは、ほっとしていた。これでやっとこの家と、異常な環境からおさらばできる、そう思ったのである。

しかし新しい下宿には、何通もの手紙が母娘から届いた。彼はそれを無視した。しかし最後の一通に書かれた言葉に仏心が動く「せめて最後のピクニックに連れてってちょうだい。」

1956年6月17日日曜日、リディアとノーマを乗せたアルバートは、サウサンプトン西部のニューフォレスト国立公園へと向かった。これで本当に終わりにできるのだろうか?アルバートもそれは、はなはだ疑わしいと思っていた。

当然のなりゆきながら、途中からリディアとアルバートは口論になる。リディアはアルバートにすがりつき「どこへも行かせない」とわめいた。

森を抜けてキャンプ場に入り、斧で焚き木を切って火を起こす。パン切りナイフを忘れたので、たまたま持っていた刃渡り20cmほどの両刃ナイフで代用した。

口論が再び熱くなると、薪割り斧を持ってノーマが現われた。

「彼の好きにさせてやりなさいよ!」

「だめよ、絶対離さない!」
と反発するリディアにノーマは斧を振りおろす。リディアの右耳がちぎれ飛んだ。アルバートはそれを止めようと割って入り、ノーマを殴る。

振りかえると、パン切りナイフを持ったリディアが顔を血まみれにしながら荒い息を吐いていた。

「これでいいの、これがいちばんいい終わらせかたなのよ……」

リディアはアルバートに体当たりし、腹に深々とナイフを突きたてた。アルバートは死を覚悟し、そして腹からナイフを引き抜くと、夫人を滅多刺しにする。

「ママになにをしたの?どうせなら、あたしにもやれば?」

立ちすくむノーマの心臓を一気に貫ぬく。あとは無我夢中だった。そして、彼はそのまま失神した。

アルバートが意識をとり戻したのはそれからおよそ一時間後だった。彼は出血する腹を押さえながら、自首して出た。

法廷はアルバートの行為を止むおえなかったとは判断しなかった。アルバートは2件の殺人で有罪となり、死刑を宣告された。しかし、死刑執行の4日前に内務大臣の計らいで終身刑に減刑され、妄想型統合失調症と診断されてブロードムア病院へ搬送される。

1971年には仮釈放されたが、その後も少女への強制猥褻等の罪で3度も投獄されている。そして、2009年11月に介護施設でひっそりと息を引き取ったようである。

事件をモチーフにした映画が、『Intimate Relations』として1953年の第6回カンヌ国際映画祭で公開されている。

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