1998年1月28日に、栃木県黒磯市（現・那須塩原市）で発生した、校内での生徒による教師刺殺事件である。

― 事件の経緯 ―
当時26歳の女性教諭に、授業に遅刻したことを注意された際にこの事件は起こった。

1998年1月28日、英語の課題未提出者を放送で全校に告げられ、少年は英語担当の教諭に反感を抱いていた。朝から体調が悪く、保健室の帰りにトイレに寄ったため授業に10分ほど遅刻し、教諭から「トイレにそんなに時間がかかるの」と注意された。
授業が進むと、付近の生徒と漫画の話をし始め、再び叱られた。授業が終わる直前に少年は教壇の方を睨みつけたが無視され、「ぶっ殺してやる」と言った。
授業が終わると、教諭は少年とその友人を廊下に呼び出し、再び注意した。

教諭「先生、何か悪いこと言った?」
少年「言ってねえよ!」
教諭「ねえよという言い方はないでしょう!?」
少年「うるせぇな」

こう言うと少年はバタフライナイフを右ポケットから取り出し、教諭の左首筋に近づけた。
「あなた、なにやってるのよ」 これが教諭の最後の言葉となった。

「ざけんじゃねえ」と少年の声が響き、迷うことなく女性教諭の腹部にバタフライナイフを突き刺した。
教諭は前のめりになって倒れたが、隣の教室から飛び出した男性教諭が止めるまで少なくとも7ヶ所をナイフが貫いた。
そして少年は、通報で駆けつけた警察官に拘束された。

女性教諭は直ちに病院に搬送されたが、すでに心肺停止状態で、胸に刺された一突きが致命傷となり死亡が確認された。凶器のバタフライナイフは、2、3週間前に黒磯市で買ったものだった。
少年は宇都宮家裁に送致され、少年法にもとづく処分が適用されたが、これとは別に遺族は少年の家族を提訴し、2004年に8200万円の賠償命令を下した。

― 社会への影響 ―
この事件を起こした当時13歳の少年は補導歴や問題行為はなく、決して不良少年ではなかった。また、刺殺された教師は厳しい面もあったが、多くの生徒に嫌われているような教諭ではなかった。
なお、この事件および前年に発生した神戸連続児童殺傷事件の影響により、鋭利な刃物類の販売が有害玩具として制約がかかるようになる。
また、キレるという言葉が事件以降に定着するようになった。