2010年2月10日午前6時40分頃、石巻市の元解体作業員の少年A(当時18歳)が、東松島市の無職の少年B(当時17歳)を共犯に元交際相手の少女(当時18歳)の実家に押し入り、少女の姉(当時20歳)と少女の友人の女子高生(当時18歳)、その場にいた男性(当時20歳)を牛刀で複数回刺した。
女性二人は死亡、男性が重傷を負った。その後、別の少女の左脚を刺して車に乗せ逃走。その後車を変えて逃走するも同日少年2人は現行犯逮捕され、連れられた少女は軽傷のまま保護された。
― 復縁を迫っていた少年A ―
Aと少女は2008年8月頃から交際しており、当時生後4ヵ月の子供もいたが、少女はAから鉄の棒で殴られる、たばこを額に押し付けるなどの暴力を受けており、娘と共に実家に帰っていた。
破局後も警察に相談していたが、恐怖で被害届を出せずにいた。事件発生の前日にも、少年Aは復縁を迫って少女の実家に押しかけ、少女の姉に通報され騒ぎとなっている。
またAは犯行当時、実母に対する暴行で保護観察中だった。
相談を受けていた姉は、Aに暴力をやめるよう何度も注意していた。Aは犯行前に「姉が邪魔だ。殺してやる」と友人に話していたそうである。
少女の友人の女子高生は、少女の中学時代の同級生で大学進学を控えており、重傷を負った男性は少女の姉の知人であり、たまたま居合わせていた。
― 初のケースとなった裁判員裁判での判決 ―
少女は石巻署に12回も相談をもちかけ、警察は少女に近づかないよう2回直接警告をしていた。
事件前日に通報された際に少年Aはすでに立ち去っており、警察は診断書と被害届を出すよう少女を説得し、事件当日となった10日に提出させる予定だった。
少年Bは少年Aの子分のような状態で、「『逃げたら殺す。家族がどうなってもいいのか』と脅されている」と知人に話していた。凶器の調達をはじめ、すべて少年Bの犯行とするよう命令されていたが、少年Bが拒むと少年Aは「おれがやる」と言い犯行に及ぶ。
しかし凶器に少年Bの指紋を付けさせたり、罪を着せるため様々な隠蔽を図っており、逮捕当初も少年Aは容疑を否認していた。
重傷を負った男性は「少年Aは『全員ぶっ殺す』と言い、次々に刺していった」と証言している。
2010年11月25日、仙台地裁で開かれた判決公判において、求刑通り少年Aに死刑を言い渡したが、判決を不服として仙台高裁に控訴した。
弁護団は「少年は、死刑のみが償いではなく、生きて被害者に謝罪の気持ちを持ち続けたいと思っている」と控訴理由を説明したが、被害男性は「生きて償うとはどういう事なのか分からない」と批判している。
少年Bは懲役3年以上6年以下の不定期刑を言い渡され、現在服役中である。